1963年、「5」という哲学の誕生
セイコー5 Sportsの源流は、1963年に登場した「Seiko Sportsmatic 5」にさかのぼる。日本初の自動巻きデイデイト腕時計として登場したこの一本は、戦後の高度経済成長期に新たな購買層として浮上した若年層を狙って設計された。
「5」が指し示すのは、シリーズが満たすべき5つの要件である。自動巻きであること、日付と曜日を3時位置の単一窓に表示すること、防水を備えること、4時位置に埋没した竜頭を持つこと、ケースとブレスレットが日常使用に耐える堅牢性を備えること。これらは、廉価な機械式腕時計に求められる機能の最小集合として整理された。
1964年、Sportsmatic 5は腕時計として初の日本グッドデザイン賞を受賞する。1966年には「Five」の輸出本数がスイス全体の自動巻き腕時計生産数を上回ったと伝わり、廉価で堅牢な機械式という設計思想は世界市場に定着した。