1988年、ムーンウォッチを日常へ
スピードマスターは、1969年の月面着陸を経て、オメガを象徴する手巻クロノグラフとなった。だが42mmのケースと、装着前にぜんまいを巻く所作は、日々の道具としては万人向けではない。より小さく、より気軽に扱えるスピードマスターを求める声に、オメガが応えたのが1988年である。
社内のケース番号は ST 175.0032、製品番号は Ref. 3510.50.00 である。ケース径は39mm、厚みは約12mm、ラグ間は約45mmに収まり、手首の細い層にも届く寸法となった。風防には、ムーンウォッチと同じヘサライト(プラスチック風防)を採用する。文字盤上に「PROFESSIONAL」ではなく「AUTOMATIC」と記すことで、この時計が自動巻であることを率直に示した。
正確には、リデュースドはオメガ初の自動巻スピードマスターではない。1970年代のマーク系列や、自動巻クロノメーターのスピードマスター125が先行している。リデュースドの新しさは、技術そのものより、ムーンウォッチの顔立ちを保ったまま日常機へ翻案した点にある。