1954年、名を持つ最初の時計
Longinesが「Conquest」の名を商標登録したのは1954年である。スイスの知的財産登録機関に記録されたこの名は、同社が個々の時計に固有の名称を与え、製品ファミリーとして展開していく戦略の出発点となった。型番で管理されてきた時計が、名前を持つ。Conquestはその最初の一本だった。
初代は直径35mmの円形ケースに、ファセットを施した台形・矢印型のインデックスとドフィーヌ針を備える。心臓部には1952年に登場した自社製自動巻Cal.19ASを積んだ。毎時18,000振動 (2.5Hz)、19石、約39時間のパワーリザーブを持つこの機械は、大径のテンプと精緻な仕上げで知られ、後年までLongines屈指の自動巻と評される。意匠の核は12角形のスクリューバックにあった。中央に魚をかたどったメダリオンが半透明の緑エナメルで彩られ、その周囲に「Longines Automatic Waterproof」と刻まれる。防水と堅牢性を備えた日常の時計という性格を、この一点が物語っていた。堅牢さと品位を両立した点で、同時代のオメガ シーマスターやコンステレーションと同じ地平に立つ一本である。