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LONGINES · SERIES

Conquest

コンクエスト

Longines初の命名シリーズ。日常の精度を、時代ごとに姿を変えて追い続けてきた一本。

01 — 概要 / SUMMARY

Conquest(コンクエスト)は、1954年にLonginesが商標登録した同社初の命名コレクションである。防水と堅牢性を備えた実用時計として出発し、その後はクォーツの高精度モデルV.H.P.、現代的なスポーツ・エレガンス路線へと、時代ごとに姿を変えてきた。現在は2023年に刷新された日常使いの汎用機Conquestを中核とし、名を分け合う系譜としてダイバーズのHydroConquest、2017年に復活した高精度クォーツのConquest V.H.P.、往年の意匠を継ぐConquest Heritageがある。単一の顔を持たず、その時代のLonginesらしい日常の一本という役割を受け継いできたシリーズである。

02 — STORY · 物語

Conquest(コンクエスト)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1954年、名を持つ最初の時計

Longinesが「Conquest」の名をベルンのスイス連邦知的財産庁に登録したのは1954年である。この名は、同社が個々の時計に固有の名称を与え、製品ファミリーとして展開していく戦略の出発点となった。型番で管理されてきた時計が、名前を持つ。Conquestはその最初の一本だった。

初代のRef. 9001は直径35mmの円形ケースに、防水性と耐衝撃性を備えた三針時計である。心臓部には自社製自動巻Cal.19ASを積んだ。毎時18,000振動 (2.5Hz)、19石のこの機械は、約39時間のパワーリザーブを持つとされ、後年までLongines屈指の自動巻と評される。意匠の核は裏蓋にあった。水中を泳ぐ魚をかたどったエナメルのメダリオンがはめ込まれ、防水と堅牢性を備えた日常の時計という性格を、この一点が物語っていた。堅牢さと品位を両立した点で、同時代のオメガ シーマスターやコンステレーションと同じ地平に立つ一本である。

02

実用と精度の時計として

Conquestは単一のモデルにとどまらなかった。日付を備えたConquest Calendar(Cal.19ASD)や、1959年に文字盤中央の二枚の円盤で残量を示すパワーリザーブ付きのRef. 9028(Cal.292)へと派生し、1950年代後半から1960年代にかけてLonginesの実用時計の中核を担う。精度と堅牢性を軸に据えるという性格は、この時期に固まった。やがて機械式の時代が終わりに近づくと、Conquestの名はクォーツへと受け継がれていく。

03

クォーツへの賭け — 1984年のV.H.P.

Longinesは精密計時の分野で長い蓄積を持つ。1984年、同社はConquestの名を冠した高精度クォーツ、Conquest V.H.P.(Very High Precision)を発表する。搭載されたCal.276.2は二つの発振器を用いた構成で、AsuLab(現スウォッチ グループ)と共同開発されたと伝わる。温度補正により年差±10秒という、当時の市販腕時計として突出した精度を実現した。機械式の名門が、クォーツでも精度の頂点を狙う。Conquestはその意思を象徴する器となった。

04

現代のConquestへ

2007年、Conquestの名はふたたび姿を変える。この年Longinesは、HydroConquest、Conquest、GrandeVitesse、Admiralの4コレクションでスポーツウォッチの分野へ本格的に戻った。太い長方形のインデックスとねじ込み式リューズを備えた鋼製の現代版Conquestは、ドレスウォッチだった初代とは別物の設計言語を持つ。同時に登場したHydroConquestは、逆回転防止ベゼルと300m防水を備えたダイバーズである。のちに、よりドレッシーなConquest Classicも加わった。Conquestはもはや一本の時計ではなく、複数の路線を束ねるファミリーの名へと拡張していった。

05

全面刷新と70周年

2017年、Longinesはクォーツの記憶を呼び戻す。Conquest V.H.P.を復活させ、年差±5秒に加え、衝撃や磁気で針がずれても自動で正しい位置に戻すGPD(歯車位置検出)機構を与えた。そして2023年、中核のConquestが全面的に描き直される。太い長方形のインデックスは細身のテーパード・インデックスに置き換わり、新たに加わったクロノグラフにはタキメーターを刻んだセラミックのベゼルインサートが載った。機械はシリコンひげぜんまいと72時間の駆動を備えるL888系と、ETA 2892を基礎とするクロノグラフのL898系である。70周年にあたる2024年には、41mmと34mmに加えて30mmと38mmが登場した。単一の顔を持たないこのシリーズは、いまも、その時代のLonginesらしい日常の一本を更新し続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Conquestを一目で見分ける「顔」は、実のところ存在しない。70年の間にケースの形も大きさも、文字盤の構成も針もベゼルも、幾度となく描き直されてきたからである。1954年の初代は35mmのドレスウォッチであり、1984年のV.H.P.は高精度クォーツ、2007年の現代版は太いインデックスを配したスポーツ寄りの鋼製時計、そして2023年の刷新では細身のアプライドインデックスへと向かった。サブマリーナーやシーマスターが意匠の連続性で記憶されるのとは対照的に、Conquestは意匠を更新し続けることで生き延びてきた。

では、このシリーズを貫くものは何か。それは姿ではなく役割である。Conquestは一貫して、その時代のLonginesが考える日常の一本であろうとしてきた。背景には精度への執着がある。初代は自社製自動巻の堅牢さで、V.H.P.はクォーツの極限精度で、現行モデルはシリコンひげぜんまいと長時間パワーリザーブで、同じ「正確で頼れる日常機」という目標を、別々の手段で追ってきた。意匠が振れ続けたなかで、文字盤の可読性を最優先するという一点だけは、ドレスからツール、再び日常機へと姿を変える間も揺らがなかった。

意匠面で唯一、時を超えて回帰するモチーフがある。初代の裏蓋を飾った魚のメダリオンである。これは2014年の60周年記念モデルConquest Heritage 1954-2014で復刻され、その後のConquest Heritageにも受け継がれた。Conquestの顔が一定しないからこそ、この小さな紋章だけがシリーズの記憶を担っている。

変わらなかったのは設計言語ではなく、日常と精度という二つの約束だった。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1954-1960年代
Cal. 19AS / 19ASD
自社製自動巻、毎時18,000振動。初代の心臓部。
1984-1990年代
Cal. 276.2(V.H.P.)
二発振器・温度補正の高精度クォーツ。
2017-現在
Cal. L288.2 ほか(V.H.P.)
年差±5秒、GPD機構を備えた高精度クォーツ。
2023-現在
Cal. L888 / L888.5
ETA基盤、72時間・シリコンひげぜんまい。
2023-現在
Cal. L898 / L898.5
ETA 2892基盤のクロノグラフ、59時間。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1954-1959

初代コンクエスト誕生

9001
35mm・自社製Cal.19AS、裏蓋にエナメルの魚のメダリオン。
1950年代後半-1970年代

実用と精度の派生展開

Conquest Calendar 9028 ほか
日付付きCalendarや中央パワーリザーブのRef. 9028へ展開。
1984

高精度クォーツV.H.P.

Conquest V.H.P.
二発振器のCal.276.2で年差±10秒、クォーツ精度の到達点。
2007-2022

現代の鋼製コンクエスト

現代 Conquest
スポーツ路線の一角として再出発、HydroConquestと並走。
2023-現在

現行コンクエスト世代

現行 Conquest(2023-)
細身のインデックスへ刷新、L888系とクロノグラフL898系。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive