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LONGINES · SERIES

Conquest

コンクエスト

Longines初の命名シリーズ。日常の精度を、時代ごとに姿を変えて追い続けてきた一本。

29.5 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Conquest(コンクエスト)は、1954年にLonginesが商標登録した同社初の命名コレクションである。防水と堅牢性を備えた実用時計として出発し、その後はクォーツの高精度モデルV.H.P.、現代的なスポーツ・エレガンス路線へと、時代ごとに姿を変えてきた。現在は日常使いの汎用機として刷新された現行Conquestを中核に、ダイバーズのHydroConquest、高精度クォーツのConquest V.H.P.、往年の意匠を継ぐConquest Heritageが並ぶ。単一の顔を持たず、その時代のLonginesらしい日常の一本という役割を受け継いできたシリーズである。

02 — STORY · 物語

Conquest(コンクエスト)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1954年、名を持つ最初の時計

Longinesが「Conquest」の名を商標登録したのは1954年である。スイスの知的財産登録機関に記録されたこの名は、同社が個々の時計に固有の名称を与え、製品ファミリーとして展開していく戦略の出発点となった。型番で管理されてきた時計が、名前を持つ。Conquestはその最初の一本だった。

初代は直径35mmの円形ケースに、ファセットを施した台形・矢印型のインデックスとドフィーヌ針を備える。心臓部には1952年に登場した自社製自動巻Cal.19ASを積んだ。毎時18,000振動 (2.5Hz)、19石、約39時間のパワーリザーブを持つこの機械は、大径のテンプと精緻な仕上げで知られ、後年までLongines屈指の自動巻と評される。意匠の核は12角形のスクリューバックにあった。中央に魚をかたどったメダリオンが半透明の緑エナメルで彩られ、その周囲に「Longines Automatic Waterproof」と刻まれる。防水と堅牢性を備えた日常の時計という性格を、この一点が物語っていた。堅牢さと品位を両立した点で、同時代のオメガ シーマスターやコンステレーションと同じ地平に立つ一本である。

02

実用と精度の時計として

Conquestは単一のモデルにとどまらなかった。日付を備えたConquest Calendar(Cal.19ASD系)や、天文台規格に挑んだクロノメーター仕様へと派生し、1950年代後半から1960年代にかけてLonginesの実用時計の中核を担う。精度と堅牢性を軸に据えるという性格は、この時期に固まった。やがて機械式の時代が終わりに近づくと、Conquestの名はクォーツへと受け継がれていく。

03

クォーツへの賭け — 1984年のV.H.P.

Longinesは精密計時の分野で長い蓄積を持つ。1983年にスウォッチ グループの前身傘下へ入った同社は、翌1984年、Conquestの名を冠した高精度クォーツ、Conquest V.H.P.(Very High Precision)を発表する。搭載されたCal.276.2は二つの発振器を用いた構成で、AsuLabと共同開発されたと伝わる。デジタル温度補正により年差±10秒という、当時としては突出した精度を実現した。機械式の名門が、クォーツでも精度の頂点を狙う。Conquestはその意思を象徴する器となった。

04

現代のConquestへ

2000年代に入ると、Conquestの名はふたたび姿を変える。今度は鋼製のスポーティな日常時計としてである。大きめのアラビア数字、ねじ込み式リューズ、ソード型の針を備えたこの現代版は、ドレスウォッチだった初代とは別物の設計言語を持っていた。2007年には、この現代Conquestを土台に、回転ベゼルと300m防水を備えたダイバーズ、HydroConquestが派生する。少し遅れて、よりドレッシーなConquest Classicも加わった。機械式スポーツウォッチが市場で再評価されつつあった時流に、Conquestの名は乗り直したのである。Conquestはもはや一本の時計ではなく、複数の路線を束ねるファミリーの名へと拡張していった。

05

全面刷新と70周年

2017年、Longinesはクォーツの記憶を呼び戻す。Conquest V.H.P.を復活させ、年差±5秒に加え、衝撃や磁気で針がずれても自動で正しい位置に戻すGPD(歯車位置検出)機構を与えた。そして2023年、中核のConquestが全面的に描き直される。大ぶりのアラビア数字は控えめなアプライドマーカーに置き換わり、クロノグラフにはタキメーターを刻んだセラミックベゼルが載った。翌2024年の70周年では、30mm・34mm・38mmへとサイズが広がり、L592.5やL888.5といった機械式キャリバーが拡充される。単一の顔を持たないこのシリーズは、いまも、その時代のLonginesらしい日常の一本を更新し続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Conquestを一目で見分ける「顔」は、実のところ存在しない。70年の間にケースの形も大きさも、文字盤の構成も針もベゼルも、幾度となく描き直されてきたからである。1954年の初代は35mmのドレスウォッチであり、1984年のV.H.P.は角張った高精度クォーツ、2000年代の現代版はアラビア数字を大きく配したツール寄りの鋼製時計、そして2023年の刷新では控えめなアプライドマーカーへと向かった。サブマリーナーやシーマスターが意匠の連続性で記憶されるのとは対照的に、Conquestは意匠を更新し続けることで生き延びてきた。

では、このシリーズを貫くものは何か。それは姿ではなく役割である。Conquestは一貫して、その時代のLonginesが考える日常の一本であろうとしてきた。背景には精度への執着がある。初代は自社製自動巻の堅牢さで、V.H.P.はクォーツの極限精度で、現行モデルはシリコンひげぜんまいと長時間パワーリザーブで、同じ「正確で頼れる日常機」という目標を、別々の手段で追ってきた。意匠が振れ続けたなかで、文字盤の可読性を最優先するという一点だけは、ドレスからツール、再び日常機へと姿を変える間も揺らがなかった。

意匠面で唯一、時を超えて回帰するモチーフがある。初代の12角裏蓋を飾った魚のメダリオンである。これは2014年のConquest Heritageで復刻され、後に常設ラインへ組み込まれた。Conquestの顔が一定しないからこそ、この小さな紋章だけがシリーズの記憶を担っている。

公式には「当初のアイデンティティに忠実であり続けた」と語られるが、独立系の評者はむしろ幾度もの作り直しを指摘する。どちらも正しい。変わらなかったのは設計言語ではなく、日常と精度という二つの約束だった。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1954-1960年代
Cal. 19AS / 19ASD 系
自社製自動巻、毎時18,000振動。初代の心臓部。
1984-1990年代
Cal. 276.2(V.H.P.)
二発振器・温度補正の高精度クォーツ。
2010年代-現在
Cal. L592 / L592.5
ETA基盤の自動巻、毎時28,800振動。
2017-現在
ETA製 V.H.P. クォーツ
年差±5秒、GPD機構を備えた高精度クォーツ。
2018-現在
Cal. L888.5
ETA基盤、72時間・シリコンひげぜんまい。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1954-1959

初代コンクエスト誕生

9000 9001
35mm・自社製Cal.19AS、12角裏蓋に魚の緑エナメル章。
1950年代後半-1970年代

実用と精度の派生展開

Conquest Calendar ほか
日付付きCalendarや天文台規格モデルへ展開、実用機として定着。
1984

高精度クォーツV.H.P.

Conquest V.H.P.
二発振器のCal.276.2で年差±10秒、クォーツ精度の到達点。
2000年代-2022

現代の鋼製コンクエスト

現代 Conquest
鋼製のスポーツ・エレガンス路線へ刷新、HydroConquestの母体。
2023-現在

現行コンクエスト世代

現行 Conquest(2023-)
控えめな意匠へ全面刷新、L592.5 / L888.5で日常機に。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive