なぜ「Pioneer」だったのか
2012年、メイラン家のMELBホールディングがH.モーザー(H. Moser & Cie.)を傘下に収めたとき、同社はパーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)などで評価される繊細なドレスウォッチの作り手だった。一方で、年産数千本という規模の独立系にとって、入口となる日常使いのスポーツウォッチを欠いていた。Pioneerはその空白を埋めるために構想された。
社名の由来でもある創業者ハインリヒ・モーザー(Heinrich Moser)は、1828年にサンクトペテルブルクで会社を起こした時計師であると同時に、故郷シャフハウゼンへ戻ってライン川に水力機械式のダムを築いた産業の開拓者でもあった。「Pioneer」という名は、この開拓精神への参照である。開発には3年を要したとされ、当初2016年に予定していた発表を1年前倒しして2015年に披露した。発表に際してはパラボリックフライトによる無重力環境での披露が行われたと伝えられ、冒険的な性格を印象づけた。