1945年の原型と、半世紀後の再発見
第二次大戦末期、ジラール・ペルゴは一本の角型時計をつくった。アールデコの幾何学を宿しながら、ケースは硬直していない。上下にも左右にも緩やかに湾曲し、手首の丸みに沿う。文字盤にはアラビア数字、ドーフィン針、鉄道線路を思わせる分目盛り。装飾を競う時代の作ではなく、実用的な端正さをまとった一本であった。
この原型は長く忘れられていた。再び光が当たるのは1990年代である。ルイジ・マカルーソの主導のもと、ジラール・ペルゴは自社の歴史資産へ回帰する方針を採った。博物館に眠っていた1940年代のアールデコ作品が掘り起こされ、復刻の母型となる。1994年のVintage 94(Ref. 2550)がその先駆であり、翌年、より広く知られる一本が続く。