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GIRARD-PERREGAUX · SERIES

Vintage 1945

ヴィンテージ1945

直線を曲面へと溶かし、アールデコの角型を腕に沿わせた、ジラール・ペルゴの現代的復刻。

36.1 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Vintage 1945(ヴィンテージ1945)は、ジラール・ペルゴが1995年に発表した角型ドレスウォッチのシリーズである。1940年代の自社アールデコ作品を源流とし、上下左右に湾曲するケースが手首に沿う。XXLラージデイト&ムーンフェイズ、Earth to Sky、Infinityといった現行モデルに加え、自社の象徴である三つのブリッジのトゥールビヨンを宿す系譜でも知られる。長方形でありながら、平面をほとんど持たない稀有な意匠の系譜である。

02 — STORY · 物語

Vintage 1945(ヴィンテージ1945)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1945年の原型と、半世紀後の再発見

第二次大戦末期、ジラール・ペルゴは一本の角型時計をつくった。アールデコの幾何学を宿しながら、ケースは硬直していない。上下にも左右にも緩やかに湾曲し、手首の丸みに沿う。文字盤にはアラビア数字、ドーフィン針、鉄道線路を思わせる分目盛り。装飾を競う時代の作ではなく、実用的な端正さをまとった一本であった。

この原型は長く忘れられていた。再び光が当たるのは1990年代である。ルイジ・マカルーソの主導のもと、ジラール・ペルゴは自社の歴史資産へ回帰する方針を採った。博物館に眠っていた1940年代のアールデコ作品が掘り起こされ、復刻の母型となる。1994年のVintage 94(Ref. 2550)がその先駆であり、翌年、より広く知られる一本が続く。

02

1995年、「Vintage 1995」として

1995年に登場した復刻第一作が、Ref. 2595である。手巻き、スモールセコンド、限定的な生産。当初の名は「Vintage 1995」であり、のちに源流の年にちなんで「Vintage 1945」と改められた。搭載機には、汎用ベースを再仕上げした手巻きが用いられたと伝わる。

原型の意匠は、単純な模写ではなかった。ケースは現代の手首に合わせてわずかに拡大され、湾曲の度合いも練り直された。長方形でありながら、平面がほとんど存在しない。この一見矛盾した造形が、シリーズの核となる言語として定まっていく。

03

自動巻と複雑機構への拡張

1990年代後半から2000年代にかけて、Vintage 1945は枝分かれする。自社製自動巻のGP3300系を得て、時分秒の実用機が整う。さらにクロノグラフや複数時間帯表示など、複雑機構を収めたモデルが続いた。2000年前後には、白金ケースのデュアルタイム・クロノグラフ(Ref. 25975)のような意欲作も現れる。

クオーツを積んだ小径のレディースモデル(Ref. 25870系)も用意され、シリーズは性別やサイズを横断する裾野を得た。曲面の角型という器が、多様な機構を受け止める土台になっていった。

04

三つのブリッジ、角型ケースへ

ジラール・ペルゴを象徴する機構に、三つのブリッジのトゥールビヨンがある。19世紀にコンスタン・ジラールが磨き上げ、1889年のパリ万国博覧会で金賞を得た構造で、矢羽根状の三本のブリッジが平行に並ぶ。香箱、輪列、トゥールビヨンを一直線に配したその姿は、同社の紋章ともいえる。

2010年代初頭、この機構がVintage 1945の角型ケースに収められた。円形を前提に育った機構を矩形へ収めるため、土台を長方形へ設計し直し、マイクロローターを備えたCal. 9600系が用いられた。2015年には原型から70周年を記念する限定版も発表され、装飾と機構の双方でアールデコの規律が貫かれた。

05

XXLと現在地

2014年、シリーズ最大級のXXL(Ref. 25880)が登場する。ケースはラグとリューズを除いて約36mm四方に達し、文字盤はより整理された。先行する小径のキングサイズ(Ref. 25835)に対し、存在感と装着感を両立させた拡張といえる。続く現行のRef. 25882系では、自社の特許によるグランドデイトを核に据える。極薄の二枚の円盤で数字を表示し、桁の間に切れ目が見えない機構である。

現在のコレクションは、XXLラージデイト&ムーンフェイズ、Earth to Sky、Infinityなどで構成される。素材はステンレススチール、チタン、ピンクゴールドにわたる。原型の角型を曲面で成り立たせるという最初の判断は、30年を経てなお保たれている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Vintage 1945の設計を貫く判断は明快である。長方形のケースを、徹底して曲面で成り立たせること。ケースは上下にも左右にも湾曲し、サファイアクリスタルも文字盤も裏蓋も同じ曲率で反る。手首に器を伏せたときの収まりは、この三次元的な反りから生まれる。直線的な角型より成形は難しく、平面で済むところをあえて凸面で押し通している。

唯一、平らなままなのがムーブメントである。湾曲したケースの内側へ、平らな機械を薄く収める。この矛盾をどう解くかが、シリーズの技術的な主題であり続けた。トゥールビヨン版で土台を矩形に設計し直したのも、円い機構を角型の器へ落とし込むための答えであった。

意匠の語彙は原型から一貫している。応用アラビア数字、手作業で湾曲させたドーフィン針、鉄道線路を模した分目盛り、6時位置のスモールセコンド。ケース側面には縦の溝(ゴドロン)が刻まれ、光をひだのように受け止める。湾曲した文字盤は見る角度で表情を変え、平面の角型にはない奥行きを与える。これらの要素は流行で足し引きされず、世代を越えて持ち越されてきた。

同時代の角型としては、ジャガー・ルクルトのレベルソやアールデコの矩形時計がしばしば引き合いに出される。ただし反転機構や平面の意匠を選んだそれらに対し、Vintage 1945は曲げるという難路を選んだ点で輪郭が異なる。曲面は装着感であると同時に、シリーズを一目で識別させる記号でもある。

そして自制がある。防水は30mにとどまり、道具ではなくドレスウォッチの領分を守る。色や装飾を競わず、トゥールビヨンのような高級機構を収めてもアールデコの端正さを崩さない。変えてきたのはサイズと機構、変えなかったのは曲面の角型という佇まいである。70年を経てなお一目でそれと分かるのは、この一点を譲らなかったからである。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1995-1990s後半
手巻 (Peseux 7000系) / クオーツ
復刻初期。汎用ベースを再仕上げして搭載。
1990s後半-現在
Cal. GP3300 / GP03300 系
自社製自動巻の基幹機。後にグランドデイトを追加。
2000s
Cal. 33CO.T 系
クロノグラフ・複数時間帯の複雑機構を担当。
2011-現在
Cal. GP9600 系
三つのブリッジのトゥールビヨン。マイクロローター自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1945

原型モデル

オリジナル・モデル
湾曲する角型ケースの源流。アールデコ意匠の祖。
1995

復刻初代

2595
手巻の限定復刻。当初は「Vintage 1995」と呼ばれた。
1990s後半-2000s

自動巻・複雑化

25835 25975 系
自動巻やクロノ、複数時間帯へ枝分かれした拡張期。
2011-2015

トゥールビヨン

99880 系
三つのブリッジのトゥールビヨンを角型ケースに搭載。
2014-現在

XXL現行世代

25880 25882 系
ケースを拡大。グランドデイトやムーンフェイズを展開。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive