本文へ
GIRARD-PERREGAUX · SERIES

Laureato

ロレアート

八角形のベゼルを円に載せ、設計から機械まで自社で完結させた、1975年生まれの一体型スポーツウォッチ。

38 mm
01 — 概要 / SUMMARY

1975年に発表されたジラール・ペルゴのロレアートは、八角形のベゼルを円形ベースに重ねた、一体型ブレスレットのスポーツウォッチである。ロイヤルオークやノーチラスと同じ1970年代に生まれながら、外部デザイナーの署名に頼らず、ケースからムーブメントまでを自社で手がけた点に独自性がある。初代はクォーツ・クロノメーターを心臓に据え、GPがクォーツ技術の先頭を走っていた事実を映していた。現行は34・38・42mmのスリーハンドを核に、クロノグラフ、スポーティなアブソリュート、スケルトン、トゥールビヨンへと枝分かれし、2025年には50周年記念のロレアート フィフティが加わった。

02 — STORY · 物語

Laureato(ロレアート)、これまでの軌跡

The story of this series
01

クォーツで時代の先頭に立つ

1970年代のスイス時計産業は、クォーツという新技術の到来に揺れていた。多くのメーカーが機械式の存続をめぐって守勢に回るなか、ジラール・ペルゴはむしろ攻めに出ていた。1966年に電子研究部門を設け、1971年には毎秒32,768Hzで振動するクォーツキャリバーGP350を完成させている。この振動数は、のちに全世界のクォーツ時計が採用する標準となった。

1975年に登場した初代ロレアートは、この技術的優位の上に立っていた。GP350系を洗練させた自社製クォーツを心臓に据え、しかもCOSC(スイス公式クロノメーター検定機関)の認定を取得していた。同じ時期、整然とした幾何学と一体型ブレスを持つ高級スポーツウォッチが新しい潮流を作りつつあった。1972年のロイヤルオークが口火を切り、ノーチラスの登場は翌1976年。ロレアートは、その只中に置かれた一本だった。

02

名前と作者をめぐる謎

発表時の名は「クォーツ・クロノメーター」であり、「ロレアート」は当初の正式名ではなかった。イタリアの販売代理店が、1967年の映画『卒業』(イタリア語題 Il Laureato)にちなんで呼び始めたものが定着したと伝わる。ただしGP自身の近年の調査によれば、名前の由来は明確には記録されていないという。

作者についても通説と公式見解が食い違う。長くミラノの建築家アドルフォ・ナタリーニの作とされてきたが、GPは近年、これを裏付けのない説として退け、設計したのは社内に残った無名のデザイナーだったとしている。確かなのは、八角形のベゼルを円形のベースに重ね、それをトノー型のケースへ収めるという三つの幾何の重ね合わせが、このとき定まったことである。ブレスレットはケースと一体に見えるよう設計され、頭部とブレスが一つの物体として読めた。

03

機械式への回帰

機械式への関心が再び高まった1990年代半ば、ロレアートは大きく性格を変える。1995年、初の自動巻モデルがRef. 8010として登場した。薄型の自社製自動巻GP3100を収めた36mmケースは、厚さ8mm弱に収まり、文字盤にはクル・ド・パリ(鋲打ち模様)の装飾を備えていた。「Laureato」の名がケースバックに刻まれたのも、このときが初めてである。

クォーツで始まったシリーズが機械式を本流へ据え直したこの転換は、以後のロレアートの土台になった。1998年には薄型自動巻GP3300が加わり、シリーズの基幹キャリバーとして長く使われていく。

04

マカルーソ家とEvo3の時代

2003年、当時GPを率いたジノ・マカルーソの手で、ロレアートはより頑健でスポーティなEvo3世代へと刷新された。クロノグラフを皮切りに、パーペチュアルカレンダーやムーンフェイズなど複雑機構もモジュールで展開し、ラバーやレザーストラップの選択肢も広がった。

この時代、GPが19世紀から受け継ぐスリー・ブリッジ(三本の橋)のトゥールビヨンが、一体型ケースの中へ再び持ち込まれた。金の橋(1997年)、サファイアの橋(2006年)、スピネルの橋(2012年)。ムーブメントを構造として見せるGPの流儀が、スポーツウォッチの枠で表現された。2010年にジノ・マカルーソが世を去ると、シリーズは一時、潮が引くように表舞台から姿を消す。

05

2016年、八角形の帰還

転機は創業225周年にあたる2016年に訪れた。ジノの息子で建築家のステファノ・マカルーソが、1995年のRef. 8010の比率を手がかりに41mmの記念モデルを設計し、限定225本のRef. 81000として復活させた。これが完売すると、翌2017年、GPはロレアートを限定品から本格的なコレクションへと育て直す。34mmのクォーツ、38mmと42mmの自動巻、さらにトゥールビヨンとスケルトンまでを一挙に揃えた。

42mmには自社製自動巻GP01800、38mmにはGP03300が収められた。前者は毎時28,800振動(4Hz)、パワーリザーブ54時間。一体型スポーツウォッチへの関心が世界的に再燃するなか、この復活は商業的にも確かな手応えを得た。

06

50年の現在地

現行のロレアートは、原型に忠実なスリーハンド(34・38・42mm)を中核に、クロノグラフ、より大型でスポーティなアブソリュート(44mm)、スケルトン、トゥールビヨンへと幅を広げている。ケースには904Lステンレススチールが用いられ、防水は多くのモデルで100mを確保する。

そして2025年、シリーズは50周年を迎えた。記念モデルのロレアート フィフティ(Ref. 81008)は、1975年と同じスチールとイエローゴールドの二色仕立てを39mmの現代的な寸法で再構成し、新キャリバーGP4800を初めて搭載した。シリコン製脱進機と可変慣性テンプを備えるこの自動巻は、GPが再び量産キャリバーの作り手として前に出ようとする意思を示している。八角形と円を重ねた最初の発想は、半世紀を経てなお、シリーズの背骨であり続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ロレアートの設計を貫くのは、「幾何の重ね合わせ」という一つの発想である。八角形のベゼルを円形のベースに載せ、その全体をトノー型のケースが受け止める。三つの異なる輪郭が積層しながら、視覚的な重心が均衡するよう配されている。初期のスケッチには建築のファサードやドームが参照されたと伝わり、装飾よりも構造の論理が前に出ている点に、このシリーズの性格がよく表れている。

ケースとブレスレットの関係も、最初から一体として考えられていた。ラグから連続するように水平のリンクが組み込まれ、頭部とブレスが切れ目なく一つの物体として読める。表面はサテン仕上げとポリッシュが交互に走り、光の当たり方で陰影が切り替わる。スチールという素材を、貴金属のように扱う仕上げの思想がここにある。文字盤にはクル・ド・パリの鋲打ち模様が刻まれ、その細かな反射がブレスの面構成と響き合う。3時位置の日付窓と、視認性を優先した太めの針も、初代から大きくは動いていない。

変えなかったものと、あえて変えたものの線引きも明快である。八角形と円の関係、一体型ブレス、クル・ド・パリ、サテンとポリッシュの対比——これらは世代を越えて保たれた。一方でケース径は初代の控えめな寸法から38mmや42mmへ広がり、素材はチタンやカーボン、セラミックへと拡張し、機構もクロノグラフやトゥールビヨンを取り込んだ。核を固定し、周縁を更新するという判断が、半世紀後もひと目でロレアートと分かる輪郭を保たせている。

同時代の一体型スポーツウォッチと並べると、その個性は際立つ。ロイヤルオークやノーチラスがジェラルド・ジェンタの署名と大胆な意匠を前面に出したのに対し、ロレアートは社内の手による匿名性と、数学的とも言える構成の静けさを選んだ。さらにGPには、19世紀から受け継ぐスリー・ブリッジの伝統——ムーブメントを構造として見せる流儀がある。ケースの建築的な造形と、機械の建築的な造形を呼応させること。この「内から外へ」の一貫性こそ、ロレアートの設計言語の根にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1975-1994
GP350 系クォーツ
32,768Hzの自社クォーツ、COSC認定。
1995-2002
GP3100
初の自動巻Laureato向け薄型自社機械式。
2003-2016
GP3300 系
Evo3でモジュール式複雑機構に展開。
2017-2024
GP01800 / GP03300
現代復活期の主力自動巻、4Hz・54時間。
2025-現在
GP4800
シリコン脱進機と可変慣性テンプの新世代。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1975-1994

初代クォーツ

4266 ほか
八角ベゼルと一体型ブレス、COSC認定クォーツの原型。
1995-2002

初の自動巻

8010
薄型自動巻GP3100を搭載、機械式へ回帰した36mm。
2003-2015

Evo3世代

Evo3 系
ケースを大型・スポーティ化、複雑機構へ展開した世代。
2016

225周年で復活

81000
創業225周年記念の限定225本、41mmで現代に復活。
2017-2024

コレクション化

81010 81005
34/38/42mmを本格展開、GP01800/03300を搭載。
2025-現在

ロレアート フィフティ

81008
50周年記念、新型GP4800と39mm二色仕立て。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive