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CHOPARD · SERIES

Alpine Eagle

アルパイン イーグル

1980年のSt. Moritzを創業家三世代で再解釈した、Lucent Steelとアルプスの鷲を宿すラグジュアリースポーツウォッチ。

01 — 概要 / SUMMARY

Alpine Eagle (アルパイン イーグル) は、ショパールが2019年に発表したラグジュアリースポーツウォッチである。1980年に同社初の鋼製時計として生まれたSt. Moritzを、創業家三世代の手で再解釈した一族として位置づけられる。独自の合金Lucent Steelによるケースと一体型ブレスレット、鷲の虹彩を思わせる放射状の文字盤を核とし、現在は時分秒の41mm・36mm・33mm、44mmのXL Chrono、フライングトゥールビヨン、8HzのCadence 8HFへと枝分かれする。アルプスの自然と猛禽の保全を掲げる財団活動とも結びつく。

02 — STORY · 物語

Alpine Eagle(アルパイン イーグル)、これまでの軌跡

The story of this series
01

引き出しの中のSt. Moritz

Alpine Eagleの起点は、1台の時計が眠る引き出しにある。1980年、ショパールは初の鋼製スポーツウォッチSt. Moritzを発表した。設計したのは当時22歳のカール=フリードリッヒ・ショイフレ。1963年に一族が買収したばかりのメゾンで、彼は父カール・ショイフレ3世を説き伏せ、貴金属ではなく鋼で「スポーティかつ上質な時計」を作らせた。名はショパールの旗艦ブティックが構えるスイスの保養地に由来する。St. Moritzはショパールの成功作となった。

時は流れ、歴史は反復する。彼の息子カール=フリッツが、父の執務室の引き出しでSt. Moritzを見出したのである。修復を終え博物館へ送られる前の個体だった。一体型のブレスレットに目を留めた彼は、ここに新しいスポーツウォッチの余地があると確信する。父は当初首を縦に振らなかった。新しいコレクションの立ち上げは、開発も型も広報も大きな投資になるという理由だった。かつて自分が父を説得したのと同じ構図に、カール=フリードリッヒは苦笑したと伝わる。祖父カールの後押しもあり、計画は動き出す。三世代のショイフレが一つの構想に取り組むのは、これが初めてだった。

02

2019年、鷲の眼が開く

2019年、Alpine Eagleは世に出た。基準となる41mm (Ref. 298600-3001) と36mm (Ref. 298601-3001) の2サイズで、いずれも自社のフルリエ・エボーシュが手がけるCOSC認定の自動巻を積む。41mmはCal. 01.01-C、毎時28,800振動 (4Hz) で60時間の動力を蓄える。

このシリーズを規定したのは、二つの選択である。一つは、ケースとブレスレットの素材に貴金属でも通常のステンレスでもなくLucent Steelと名付けた独自合金を選んだこと。4年を費やして開発されたこの鋼は、ショパールによればビッカース硬度223と316L鋼より硬く、摩耗にも強く、金を思わせる輝きを放つという。原料の多くを再生鋼が占めるとも説明される。もう一つは、文字盤を「鷲の眼」に見立てたこと。中心から放射する繊細なグラデーションは猛禽の虹彩を、秒針の先のカウンターウェイトは羽根を思わせる。St. Moritzから受け継いだベゼルの8本のビスと三連リンクのブレスレットに、この新しい意匠言語が重ねられた。

03

サイズとコンプリケーションの拡張

シリーズは速やかに枝を伸ばす。2020年には初の複雑機構として、44mmのXL Chrono (Ref. 298609系) が加わった。コラムホイールと垂直クラッチを備えるフライバッククロノグラフ、Cal. 03.05-Cを収めるための拡大である。

2021年には、チタンをまとう限定版のCadence 8HFが登場する(2023年に限定なしのモデルも加わった)。2022年にはマイクロローター自動巻のフライングトゥールビヨン (Ref. 298616-3001) が加わり、のちに最小径となる33mmも登場した。33mmは36mmと同じCal. 09.01-Cを積む。三針を軸としながら、上はトゥールビヨンから下は33mmまで、Alpine Eagleはわずか数年で四つのサイズと複数のコンプリケーションを抱える一族へと広がった。

04

高振動という選択

技術面でこのシリーズを特徴づけるのが、高振動への傾倒である。Cadence 8HFが積むCal. 01.12-Cは、毎時57,600振動 (8Hz) で時を刻む。一般的な機械式が毎時18,000から28,800振動で動くことを思えば、突出した速さである。ショパールは2012年のL.U.C 8HFで初めて8Hz機を世に問い、その研究を積み重ねてきた。高振動は動力消費が増えやすいが、シリコン製の脱進機部品などにより60時間の動力とCOSC認定を両立させた点が、この一族の技術的な見どころとされる。2025年には、ケースとムーブメントの地板・橋にセラミック化チタンを用いた250本限定のSL Cadence 8HF (Cal. 01.14-C) も加わり、コレクション史上最も軽い時計として同年の GPHG でスポーツウォッチ賞を受けた。

05

鷲とアルプス

Alpine Eagleは、その名に保全の使命を結びつけた数少ないスポーツウォッチである。コレクションは、アルプスの生態系と猛禽の保全を目的とする Alpine Eagle Foundation と結びついており、裏蓋に財団のロゴを刻むモデルなど一部の売上は、その活動に充てられるとされる。文字盤の色名がAletsch Blueやモス・グリーンといったアルプスの氷河や山肌に由来するのも、この物語と無縁ではない。

06

現在地

発表から数年で、Alpine Eagleはショパールのスポーツウォッチの中核となった。2026年の Watches and Wonders では、コレクション初の耐磁ひげぜんまい(2,000ガウス)を Cal. 01.01-C に組み込んだ Alpine Eagle 41 AM(Ref. 298600-3038)が発表された。テーパーを強めたブレスレットと微調整機構付きのクラスプも導入され、一族はなお進化の途上にある。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Alpine Eagleの設計思想は、「受け継ぐもの」と「新たに与えるもの」の線引きにある。

St. Moritzから引き継いだのは、構造の骨格である。トノー型のケースの上に円形のベゼルを載せ、そこに8本のビスを等間隔に並べる。ケースと連続する三連リンクのブレスレットは、中央リンクを磨き上げてわずかに隆起させ、外側を縦ヘアラインで抑える。ケース側面の左右に張り出すクラウンガードと、コンパスローズを刻んだねじ込み式リューズも、実用を示す要素として配される。縦のサテン仕上げと面取りのポリッシュを対比させる仕上げは、光を受けるたびにケースの稜線を浮かび上がらせる。

新たに与えられたのは、自然のモチーフである。文字盤の中心から外周へ放射するグラデーションは鷲の虹彩を模し、秒針のカウンターウェイトは一枚の羽根をかたどる。色名もアルプスの風景に由来し、氷河の青、山肌の緑、岩屋根の灰へと展開する。装飾を足すのではなく自然の質感を写し取る方向へ意匠を寄せた点が、このシリーズの抑制を物語る。

素材の選択もまた思想である。多くの高級スポーツウォッチが鋼か貴金属かで性格を分けるなか、Alpine Eagleは独自のLucent Steelを主役に据えた。硬度と耐摩耗性を高めつつ金に迫る輝きを狙うという発想は、鋼を廉価な代替ではなく一つの到達点として扱う姿勢に近い。

同時代の一体型スポーツウォッチと並べると、輪郭はより明瞭になる。ロイヤルオークが八角形のベゼルとタペストリー文字盤で、ノーチラスが舷窓を思わせるケースで個性を主張するのに対し、Alpine Eagleは円形ベゼルと放射状の「鷲の眼」を顔とする。サイズやコンプリケーションが増えても、この円とビスと虹彩の組み合わせは変わらない。半世紀の歴史を重ねた先行アイコンとは異なり、わずか数年で「見ればそれと分かる顔」を確立しえたのは、この三点の一貫性によるところが大きい。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2019
Cal. 01.01-C / 09.01-C
基幹の自社製自動巻。COSC認定の時分秒・日付。
2020
Cal. 03.05-C
コラムホイール式フライバッククロノ。XLクロノ用。
2021
Cal. 01.12-C / 01.14-C
シリコン脱進機による8Hz高振動キャリバー。
2022
Cal. L.U.C 96.24-L
マイクロローター自動巻のフライングトゥールビヨン。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2019

初代 41/36

298600-3001 298601-3001
Lucent Steel採用、41mmと36mmで誕生。時分秒・日付。
2020

XL Chrono 44mm

298609系
初の複雑機構と44mm径。自社製フライバッククロノ。
2021

Cadence 8HF

298600-3005
初のチタンと8Hz高振動。250本限定で登場。
2022

トゥールビヨンと33mm

298616-3001 298617系
フライングトゥールビヨンと最小径33mmが加わる。
2026

ブレスレット刷新

298600-3035 ほか
微調整機構付き新ブレスと、耐磁モデルAMを追加。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

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