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CALIBER · TAG HEUER

TH20-01

自動巻 Automatic Analog

日付を持たない、TAG Heuerの自社製一体型クロノグラフ。2026年カレラ・グラスボックス41mmに初搭載されたTH20-00の派生

OVERVIEW · 概要

TH20-01は、TAG Heuerが自社で開発・製造する一体型の自動巻きクロノグラフキャリバーである。基本型TH20-00から日付機構を省いた派生にあたり、毎時28,800振動 (4Hz)、約80時間のパワーリザーブ、33石を備える。クロノグラフはコラムホイールと垂直クラッチで制御され、始動時の秒針の飛びを抑えた滑らかな操作感を持つ。両方向巻きのローターはTAG Heuerの紋章をかたどる。2026年、カレラ・クロノグラフ・グラスボックス41mm(CBS2113/2114/2115)に初搭載された。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerTAG Heuer
ReferenceTH20-01
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels33 石
Power reserve80 h
Movement ⌀32 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
ChronographChronograph, Column wheel
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. Heuer 02からTH20へ

TH20-01の系譜は、2010年代初頭にさかのぼる。TAG Heuerは自社製クロノグラフの基幹ムーブメントの開発に着手し、2013年に「Calibre 1969」として披露した。名称は、自動巻きクロノグラフの開発競争に沸いた1969年への参照である。その後、80時間という長いパワーリザーブにちなみ「CH80」と改称され、量産化の過程を経て、2016年前後に「Heuer 02」として結実した。スイス・ジュラ地方のシュヴネ(Chevenez)の自社工房で製造される、一体型クロノグラフである。

Heuer 02は、セイコー由来の設計を持つCalibre 1887(Heuer 01)に対し、より薄型で上位に位置づけられる自社製キャリバーとして構想された。脱進・調速系には専業メーカーAtokalpaの協力を得ている。

2. TH20への刷新

2023年3月、TAG HeuerはWatches and Wonders Genevaで、Heuer 02の後継となる「TH20」系を発表した。刷新を主導したのは、ムーブメント開発責任者のCarole Forestier-Kasapiである。カルティエ時代から知られる設計者であり、彼女のチームはHeuer 02の基本構造を継承しつつ、要所を作り直した。

最大の変更は、一方向巻きだったローターを両方向巻きへ改めた点にある。これにより巻き上げ効率が高まり、ぜんまいを高い充填状態へ保ちやすくなった。あわせて輪列を再設計してローターの作動音を抑え、ローター自体もTAG Heuerの紋章をかたどった意匠へ変更している。保証期間も2年から5年へ延長された。基本型のTH20-00は、日付付きの標準クロノグラフとして現行カレラの中核を担う。

3. 日付なし派生としてのTH20-01

TH20-01は、このTH20-00から日付機構を省いた派生である。2026年1月、カレラ・クロノグラフ・グラスボックス41mmに初搭載された。Jack Heuerが手がけた1960年代のカレラは日付表示を持たず、その簡潔な文字盤が象徴的な存在感を生んでいた。日付窓の位置をめぐって試行錯誤が続いた現行グラスボックスにおいて、日付を廃したTH20-01は、原点の構成へ立ち返る選択といえる。

TH20系には、トゥールビヨンを組み込んだTH20-09、左りゅうずのモナコ用TH20-11、カーボン製ヒゲゼンマイを採用したTH20-60/61など、複数の派生が存在する。TH20-01は、その中で最も基本に近い、日付なしクロノグラフの位置を占める。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

TH20-01は、コラムホイールと垂直クラッチを備えた一体型の自動巻きクロノグラフである。毎時28,800振動 (4Hz) で駆動し、テンプ(速度を一定に保つ振動体)は1秒間に8回の歩進を刻む。この振動数は、現代の量産クロノグラフにおける精度と耐衝撃性の標準的な均衡点に位置する。

クロノグラフの制御には、コラムホイール(柱状の歯車)を採用する。プッシュボタンの操作を、放射状に立つ柱で各レバーへ振り分ける機構で、カム式と比べて操作感が滑らかになるとされる。始動・停止・復針の一連の動作に、節度のある感触をもたらす。

計時輪列とクロノグラフ輪列の接続は、垂直クラッチ(バーティカルクラッチ)が担う。従来の水平クラッチが歯車を横から噛み合わせるのに対し、垂直クラッチは円盤を上下に圧着させて動力を伝える。これにより、クロノグラフ始動時の秒針の飛びが抑えられ、針は静止状態から滑らかに走り出す。

構造は一体型(インテグレーテッド)である。クロノグラフ機構をモジュールとして基幹ムーブメントに後付けするのではなく、設計段階から本体へ組み込む方式を採る。動力伝達の安定と構造剛性に寄与する。

自動巻機構は、両方向巻き上げ(バイディレクショナル)のローターによる。TAG Heuerの紋章をかたどった肉抜きローターが、時計回り・反時計回りの双方で香箱(ぜんまいを収める部品)を巻き上げる。先代Heuer 02の一方向巻きから改められた点であり、装着時の巻き上げ効率を高めている。

香箱は単一で、長尺のぜんまいと効率重視の設計により、約80時間のパワーリザーブを確保する。金曜の夜に外しても月曜の朝まで動き続ける余裕は、複数の時計を持ち替える使い手にとって実用的な美点となる。

調速・脱進系は4Hzのスイス式レバー脱進機を基礎とし、テンプの受石を含め全体で33石を備える。仕上げはブリッジにコート・ド・ジュネーブ(ジュネーブ縞)を施し、肉抜きローターと併せて、視認性を意識した実用本位の装飾でまとめる。過度に華美ではなく、工業製品としての完成度を優先した方向性である。

表示機能は、中央クロノグラフ秒針、30分積算計、12時間積算計、そして連続駆動のスモールセコンドからなる。時刻合わせの際にテンプを止めるハック(秒停止)機構も備える。TH20-00との最大の差異は、日付表示を持たない点にある。日付機構を省いたことで、文字盤の構成はより整理されている。

なお、TH20系の上位派生にあたるトゥールビヨン版やカーボンスプリング版はCOSC(スイス公式クロノメーター検定)認定を受けるが、基本型のTH20-01について同認定の有無は、公表情報からは判然としない。精度はメーカー内部の許容基準に基づき調整されるとみられる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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