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CALIBER · MORITZ GROSSMANN

201.1

手巻 Handwound Analog

2017年、ステンレス鋼の ATUM Pure に向けて生まれた、グロスマンのプッシャー始動式手巻キャリバー

OVERVIEW · 概要

Cal. 201.1 は、ドイツ・グラスヒュッテのモリッツ・グロスマンが手がける手巻キャリバーである。2017年、ステンレス鋼ケースの ATUM Pure 系列のために開発された。毎時18,000振動 (2.5Hz)、パワーリザーブ42時間、20石を備え、5姿勢で調整される。最大の特徴は、リューズで時刻を合わせ、専用プッシャーで運針を始動させるグロスマン式の手巻・時刻合わせ機構にある。洋銀製の地板をガラスビーズでショットピーニングした「Pure Classic」仕上げを纏い、白サファイアの軸受石は地板へ直接圧入される。ATUM Pure、ATUM Pure M、ATUM Pure Skull などに搭載される。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerMoritz Grossmann
Reference201.1
TypeHandwound
DisplayAnalog
Frequency18,000 bph (2.5 Hz)
Jewels20 石
Power reserve42 h
Movement ⌀36.4 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

グラスヒュッテの名を継ぐ製造所

モリッツ・グロスマンは、ドイツ・ザクセンの時計の町グラスヒュッテに拠点を置く独立系製造所である。社名は、19世紀のグラスヒュッテで活躍した時計師カール・モリッツ・グロスマン(1826-1885)に由来する。彼は友人フェルディナント・アドルフ・ランゲに招かれてこの地に移り住み、1878年に設立された時計学校の共同設立者としても知られる。2008年、クリスティーネ・フッターがこの名を継ぎ、製造所を立ち上げた。2010年に初の腕時計ベンウを発表し、同時に自社製手巻キャリバー Cal. 100.0 を世に送り出した。201系は、この100系で確立した設計思想を受け継ぐ。

ステンレス鋼のための一手

グロスマンの時計は、その多くが貴金属ケースで仕立てられてきた。Cal. 201.1 が宿る ATUM Pure 系列は、ステンレス鋼を素材に選んだ系列である。鋼の持つ即物的で技術的な性格に合わせ、ムーブメントにも専用の仕上げ「Pure Classic」が与えられた。貴金属モデルが金無垢の受石座に石を収めるのに対し、Pure Classic では白サファイアの軸受石を地板へ直接圧入する。装飾を削ぎ、機構そのものへ視線を導く設計である。201系は、この鋼のための一手として開発された。

201.0 から 201.1 へ

WatchBase は 201.0 と 201.1 を別キャリバーとして登録する。公式は両者を「Cal. 201.0 / 201.1」とまとめて紹介し、テンプまわりのヒゲ持ち軸受を 201.0 で最適化したと記す。両者の主要諸元は共通で、毎時18,000振動 (2.5Hz)、42時間のパワーリザーブ、20石、187点の部品という値を分かち合う。製品としての ATUM Pure 各エディション、すなわち Pure M、Pure Skull、Pure H などには 201.1 が搭載される。世代差は微細な調整機構の改良にとどまると伝わる。

同時代のなかで

201系の振動数は毎時18,000振動 (2.5Hz) で、現代の標準的な毎時28,800振動より低い。低振動のテンプは大きな振り角でゆったりと往復し、古典的な運針の表情をもたらす。これは性能の優劣ではなく、グロスマンが選んだ設計の方向である。同じグラスヒュッテには複数の製造所が並び立ち、各社は地板の構成や脱進機、仕上げの流儀にそれぞれの解を持つ。201系は、その中でプッシャー始動の手巻機構という独自の作法を体現する。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

支柱構造と Pure Classic 仕上げ

Cal. 201.1 は、主板と2/3地板を支柱で隔てる支柱式(ピラー)ムーブメントである。直径36.4mm、厚さ5.0mm、部品点数187、石数20を数える。地板と支柱には、グラスヒュッテの伝統素材である無処理の洋銀(ジャーマンシルバー)が用いられる。ATUM Pure 向けの「Pure Classic」仕上げでは、洋銀の地板をガラスビーズでショットピーニングし、表面を細かな梨地に整える。この面は傷つきやすく、組み立てには細心の注意を要する。白サファイアの軸受石は、金無垢の受石座を介さず地板へ直接圧入され、面取りされた座によって光を反射する。平磨きされた鋼の小ねじは、地金の色を残したまま単色の佇まいを引き締める。装飾の主役を機構そのものへ譲る設計である。

調速と調整の機構

調速を担うのは、衝撃に強いグロスマンテンプである。テンプの直径は14.2mm、慣性調整用のねじを4本、片重り調整用のねじを2本備える。ヒゲゼンマイにはニヴァロックス1を採用し、平ヒゲを2度屈曲させた手作業の形状を与える。カーブピンを自由に保つことで、終端カーブを正確に中心化できる。振動数は毎時18,000振動 (2.5Hz) で、現代の主流より低い。低振動のテンプは大きな振り角でゆっくりと往復し、ゆとりのある運針を生む。調整は5姿勢で行われる。片持ち式のテンプ受けにはグロスマン・マイクロメーターねじが組み込まれ、緩急の微調整を担う。回転式のヒゲ持ちにより、テンプを外さずに振座(ビート)と歩度(レート)を別々に追い込める。締め付け板でヒゲ持ちを固定すると、緩急針の操作が歩度調整へ切り替わる。緩急装置とヒゲ持ち、テンプ上軸受の間に遊びはない。脱進機にはスイス式のレバー脱進機(クラブ歯)が据えられる。

巻上げと時刻合わせ

香箱は1つで、42時間のパワーリザーブを蓄える。巻上げ機構はクラッチ式で、地板から個別に取り外せる構造を持つ。香箱の巻き上がりは、遊びを設けたグラスヒュッテ式のストップワークが制御する。このキャリバーの作法を最も特徴づけるのは、プッシャーを併用する時刻合わせである。リューズを引くと時刻合わせモードに入り、同時に秒針が止まる(ストップセコンド)。時刻を合わせた後、リューズを巻上げ位置へ戻しても運針はすぐには始まらない。リューズ脇のプッシャーを押した瞬間に、輪列が解放されて秒針が動き出す。リューズを戻す動作が設定済みの時刻を乱さず、基準信号に合わせて正確に始動できる。一連の操作は、19世紀の懐中時計に通じる古典的な作法を腕時計へ移したものと言える。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references