Chopard 09.01-C
2018年、8リーニュの小径でCOSCクロノメーター認定を得た、ショパール自社製の自動巻
Chopard 09.01-Cは、2018年にショパールが自社開発した自動巻キャリバーである。開発・製造はFleurier Ebauches工房が担う。振動数は25,200vph (3.5Hz)、パワーリザーブ42時間、27石、159部品で構成される。直径約20mm (8リーニュ) という小型ながらCOSCクロノメーター認定を受け、表示は時・分・センター秒とストップセコンドを備える。30mmのハッピースポーツ・マニュファクチュールを皮切りに、アルパインイーグル36の基幹ムーブメントとして展開された。
| Maker | Chopard |
|---|---|
| Reference | Chopard 09.01-C |
| Type | Automatic |
| Display | Analog |
| Frequency | 25,200 bph (3.5 Hz) |
| Jewels | 27 石 |
| Power reserve | 42 h |
| Hands | Hours, Minutes, Seconds |
| Additional | Chronometer |
系譜と歴史
30mmケースに自社製を収める
09.01-Cは、2018年にハッピースポーツの25周年に合わせて登場した。その狙いは明快で、直径30mmの女性用ケースへ自社製ムーブメントを収めることにあった。ショパールは小径かつ薄型の自動巻を新規に設計し、Fleurier Ebauches工房で開発・組立を行った。当時の女性用機械式時計は汎用ムーブメントの流用も多く、専用設計の自社製は一つの方針表明であった。小さなケースに自社製を収めることは、技術的にも商品的にも意味を持つ選択だった。
L.U.Cと並ぶ二層構造のなかで
ショパールの自社製ムーブメントは、二つの拠点に分かれて造られる。一つはヌーシャテル州フルリエのChopard Manufactureで、創業者Louis-Ulysse Chopardの頭文字を冠するL.U.C系を手仕上げで仕立てる。ジュネーブシールを得る個体はジュネーブで組み上げられる。もう一つが線路を挟んで建つFleurier Ebauchesで、アルパインイーグルやハッピースポーツなど、より手の届く価格帯のコレクション向けに-C系キャリバーを製造する。こちらは機械加工の比重が高く、装飾も自動化された工程による。09.01-Cは後者に属し、垂直統合を志向するショパールの裾野を支える存在である。
アルパインイーグルへの展開
2019年に発足したアルパインイーグルで、09.01-Cは再び役割を得た。41mmモデルには大径の01.01-Cが、36mmモデルには小径の09.01-Cが収められる。ショパールは両径で一つのムーブメントを共用せず、それぞれのケースに最適な寸法のキャリバーを与えた。8リーニュ級でCOSC認定を受ける自動巻は数少なく、小型機ながら堅実な性能を担う。ハッピースポーツで培った小径設計は、ここで再び生かされた。低振動・小径という構成は、01.01-Cや03.05-Cといった-C系のなかでも独自の位置にある。
技術解説
低振動と小径の両立
09.01-Cは、てんぷが毎時25,200回振動する自動巻である。てんぷとは、ヒゲゼンマイの弾性で往復運動を繰り返し、時を刻む基準を生む調速部品をいう。25,200vph (3.5Hz) という値は、兄貴分の01.01-Cが刻む28,800vph (4Hz) より低い。振動数が低いほど一振りあたりの消費エネルギーは小さく、ぜんまいの放出が緩やかになる。小型の香箱でも42時間のパワーリザーブを確保できる背景には、この低振動の選択がある。巻き上げは、腕の動きで回るローターが主ぜんまいを締める自動巻方式による。ローターはサファイアクリスタルの裏ぶたから観賞でき、巻き上げの要として働く。動力は単一の香箱から取り出され、スイスレバー脱進機を介しててんぷへ伝えられる。さらにストップセコンド(秒規正)機構を備え、りゅうずを引くと秒針が止まる。基準信号に合わせた秒単位の時刻合わせが可能で、日付表示を持たない時・分・秒の構成に徹している。
8リーニュでクロノメーターを取る
このキャリバーの核心は、直径約20mm (8リーニュ)、厚さ約3.65mmとされる小ささにある。小径のムーブメントは輪列や脱進機を収める空間が限られ、慣性モーメントの大きなてんぷを置きにくい。そのため精度の安定を得にくいが、09.01-CはこれをCOSCクロノメーター認定の水準まで仕上げた。COSC認定は、15日間にわたり3つの温度と5つの姿勢で日差を測る検査を通過した個体にのみ与えられる。3つの温度は精度の温度依存を、5つの姿勢は重力の影響を確かめるためのものである。8リーニュ級でこの認定を得る自動巻は限られ、小型機としての一つの到達点を示す。27個の石(ルビー軸受)が回転部の摩擦を抑え、摩耗と精度低下を防ぐ役割を担う。
仕上げとフルリエの製法
装飾はFleurier Ebauchesの製法に沿う。ローターとブリッジにはコートドジュネーブ(Cotes de Geneve)の平行な筋目が刻まれ、地板にはサーキュラーグレイニング(円状の研磨目)が施される。これらの筋目は研磨ヘッドによる機械加工で付けられ、複数回の手作業を重ねるL.U.C系とは工程のパス数が異なる。装飾の質は工程の選択による差であり、優劣ではなく仕立ての方針の違いとして捉えるべきものである。機構と装飾、各種検査を終えた個体は、フルリエからジュネーブのケーシング工程へ送られる。