系譜と歴史
自社一貫生産への道
ショパールは1860年の創業以来、宝飾と時計の双方を手がけてきた。1996年には高級時計部門としてショパール・マニュファクチュールを設立し、自社初の機械式キャリバーL.U.C 1.96を発表する。その一方で、生産量の見込めるコレクション向けには長く外部のムーブメントを用いてきた。この構図を変えたのが、2008年7月に設立されたフルリエ・エボーシュである。共同社長カール=フリードリッヒ・ショイフレが主導した垂直統合の拠点であり、L.U.Cを担うマニュファクチュールとは別の施設で、量産帯の自社製ムーブメントを供給する役割を負った。
01系ムーブメントの登場
フルリエ・エボーシュ製の自社キャリバーを標準で積んだコレクションとして早いのが、2012年に発表されたクラシックレーシングのスーパーファストである。COSC認定の自動巻01.01-M、パワーリザーブ表示を加えた01.02-M、コラムホイール式フライバック・クロノグラフの03.05-Mが同時に投入された。01.01-Cは、この01.01-Mと基本設計を共有する系列とされる。文字盤レイアウトや搭載コレクションに応じて枝番と接尾辞を変えながら展開されてきた。2015年に登場したミッレミリアGTSオートマティックにも、01.01-Cが収められている。
アルパイン イーグルという表舞台
01.01-Cの存在感を決定づけたのは、2019年に発表されたアルパイン イーグルである。同コレクションは、カール=フリードリッヒ・ショイフレが1980年に手がけたサンモリッツを、息子カール=フリッツの提案で現代に再構築したものとされる。一体型ブレスレットを備えるラグジュアリースポーツの系譜に連なり、41mmモデルに01.01-C、36mmモデルにより小径の09.01-Cが充てられた。両径で別設計のムーブメントを用意した点に、ケースに対して過不足のない機構を収めるという同社の姿勢が表れている。
量産と仕上げの両立
フルリエ・エボーシュは機械化の進んだ工房で、2012年には5,000個のムーブメントを生産したと伝えられる。手作業に多くを委ねるL.U.Cの製法とは異なる立場をとり、効率と一定の仕上げ品質を両立させる方針である。両者は優劣ではなく、担う役割の違いとして理解するのが正確だろう。COSC公認を量産帯のキャリバーにまで広げた点は、独立性と精度を同時に追う同社の方向性を映している。