系譜と歴史
1. 50年続いた2121からの世代交代
Cal. 7129を理解するには、母体となったCal. 7121の登場経緯を辿る必要がある。ロイヤルオーク・ジャンボは1972年の初代以来、長らくCal. 2121を搭載してきた。これはジャガー・ルクルトのCal. 920を源流とし、オーデマ ピゲ、パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタンへ供給された薄型自動巻の系譜に連なる。中央ローターと日付を備えた当時最薄級の機構であったが、設計は半世紀を経ていた。Cal. 2121は2021年末に役目を終える。
後継として2022年、ロイヤルオーク誕生50周年に合わせて登場したのがCal. 7121である。ジャンボとして初の完全自社製基幹ムーブメントであり、直径29.6mm、厚さ3.2mm。香箱を大型化し、同等の容積でおよそ3倍のエネルギーを蓄える設計に改めた。テンプの振動数は毎時19,800振動から28,800振動 (4Hz) へ引き上げられ、パワーリザーブも40時間から55時間へ伸びた。日付の早送り機構も新たに加わっている。
2. 日付を捨てて得た2.8mm
Cal. 7129は、このCal. 7121から派生した。きっかけは、1960年の非対称モデル5159BAを現代に甦らせた[RE]Master02である。角型で左右非対称のケースに収めるには、基幹機よりさらに薄い機構が求められた。そこでCal. 7121から日付関連の部品を取り除き、厚さを3.2mmから2.8mmへ抑えた。構成部品は268点から211点へと整理され、表示は時分のみとなる。振動数とテンプ構造は基幹機を引き継ぎ、パワーリザーブは約52時間に調整された。2024年の登場以降、Cal. 7129は[RE]Master02に固有のムーブメントとして用いられている。
3. 基幹から広がるムーブメント・ファミリー
Cal. 7121は単一の完成品にとどまらず、複数の派生を生む土台となった。日付を省いて最薄を狙ったCal. 7129のほか、永久カレンダーを載せたCal. 7138が2025年、ブランド創業150周年の節目に発表された。これはジュリオ・パピ率いる開発陣が5年をかけ、全ての修正をリューズで行う機構を備える。続いてオープンワーク版のCal. 7139、角型のジャンピングアワー機Cal. 7122なども現れた。複雑機構を積み増す派生が並ぶなかで、Cal. 7129は逆に機能を削ぎ落とし、基幹の素性を最も薄い姿で示す一系統として位置づけられる。