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SEIKO · SERIES

Prospex Land

プロスペックス ランド

1959年の山男の時計に始まり、回転コンパスベゼルを受け継ぐセイコー陸上フィールドの系譜

42 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Seiko Prospex Landは、1959年のローレル・アルピニストに始まるセイコー陸上フィールドウォッチの系譜である。同社初のスポーツウォッチとされる初代の精神を受け継ぎ、方位を読む回転コンパスベゼルと高い視認性を核とする。文字盤内側にコンパスを備えるアルピニスト、チタンの探検時計ランドマスター、1968年のナビゲータータイマーを源流とするランドGMTを擁する。海(Sea)・空(Sky)と並ぶプロスペックスの三本柱の一つとして、地上の冒険のための時計を作り続けている。

02 — STORY · 物語

Prospex Land(プロスペックス ランド)、これまでの軌跡

The story of this series
01

山男たちの時計

セイコー公式によれば、アルピニストの起点は1959年のローレル・アルピニストにある。日本の登山家、すなわち「山男」の要請に応えて作られた、同社初のスポーツウォッチとされる。砂塵の侵入を防ぐスクリューバック、汗から本体を守る革製カフストラップ、暗所での視認性を確保した夜光のインデックスと針。これらは登山という具体的な目的から導かれた仕様であった。手巻き機を積んだこの時計は、1963年のアルピニスト・チャンピオン850などへ続いたのち、1960年代半ばに一度姿を消す。なお初代を1961年とする資料もある。

02

道具としての拡張 — ナビゲーターとランドマスター

アルピニストが眠る間も、セイコーは陸の道具を広げていた。1968年のナビゲータータイマー(Ref. 6117-8000)は、回転ベゼルを備えた同社初のGMTであり、移動する者のための時計であった。1984年にはサバイバルウォッチを謳うフィールドマスターが登場する。そして1993年、徳永郁夫の手によるランドマスター(Ref. SBBW005)が生まれた。運動エネルギーで発電するA.G.S.(現キネティック)を積み、当初はステンレス一体ケース、のちチタンへと移行する。外周に大ぶりのコンパスベゼルを持つこの無骨な探検時計は、装い寄りのアルピニストとは別の極で「陸の専門機」という像を太らせた。

03

赤いアルピニストの帰還

1995年、アルピニストは32年ぶりに復活する。新世代はSCVF005(黒)、SCVF007(クリーム)、SCVF009(緑)の三本であった。38mmのケース、カテドラル針、そして文字盤内側の回転コンパスを操作する4時位置の竜頭。文字盤の「Alpinist」が赤で記されたことから「赤いアルピニスト」と呼ばれる。搭載するCal.4S15は手巻きとハック機構を備えた自動巻きで、毎時28,800振動(4Hz)で時を刻んだ。ここで定まった顔は、その後も大きく変わっていない。

04

SARB017という基準

2006年、SARBシリーズが現れる。SARB013(クリーム)、SARB015(黒)、SARB017(緑)の三本は、サファイアガラスを採り、文字盤から「Alpinist」の表記を外した。搭載するCal.6R15は毎時21,600振動(3Hz)、約50時間の持続を持つ。とりわけ緑文字盤のSARB017は、道具らしさと装いの均衡で多くの愛好家に支持され、2018年の生産終了後も語り継がれる一本となった。

05

プロスペックスへの統合

2019年から2020年にかけて、アルピニストはプロスペックスの一員として再登場する。SPB117やSPB121などはCal.6R35(約70時間)を積み、日付拡大レンズを復活させた。2023年、セイコー創業110周年に合わせ、陸の系譜が一斉に動く。アルピニストGMTのSPB409、1968年のナビゲータータイマーを再現したランドGMTのSPB411(Cal.6R54、限定4,000本)、そして雫石製のCal.8L35を積むランドマスター30周年記念SLA071(限定1,000本)。ここで「Land」は、アルピニスト・ランドマスター・ランドGMTを束ねる呼称として定着した。

06

現在地 — 第8世代へ

2025年、アルピニストの基幹コレクションが更新される。SPB503(青緑)、SPB505(黒)、SPB507(緑)はCal.6R55(約72時間)を積み、ケース径39.5mm、厚さ12.7mmへとわずかに薄くなった。傷に強いダイヤシールドを纏い、20気圧(200m)防水と回転コンパスベゼルは引き継がれる。緑文字盤のSPB507は、1995年の意匠に最も忠実とされる。Prospex Landは現在、Sea・Skyと並ぶプロスペックスの三本柱の一つとして、地上の冒険のための系譜を担っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Prospex Landを貫くのは、「地上の道具」としての設計思想である。海(Sea)が潜水の経過時間を、空(Sky)が複数時間帯を主題とするのに対し、陸(Land)が向き合うのは方位と視認性、そして長時間の行動に耐える堅牢性であった。

その思想を最も象徴するのが回転コンパスベゼルである。アルピニストでは文字盤内側に回転リングを置き、4時位置の第二竜頭で操作する。経過時間を測るダイバーズのベゼルとは目的が異なり、太陽や磁針と組み合わせて方角を読むための機構である。一方ランドマスターは、ケース外周に大ぶりのコンパスベゼルを備え、より直截に探検の用途へ振った。同じ「方位」という主題を、装い寄りと道具寄りの二つの解で示す点に、この系譜の幅がある。

意匠面では、カテドラル針、立体的なアプライドインデックス、高コントラストの文字盤、LumiBriteの夜光が一貫して受け継がれる。とりわけ深い緑の文字盤は、1995年に確立されて以来、アルピニストの基準色として認識される。日付窓上の拡大レンズも、評価の分かれる要素でありながら、この系譜を見分ける目印として残されてきた。ケース径は38mmから39.5mm前後に収まり、過度に大型化させない自制が働いてきた。スクリューバックとねじ込み式竜頭、フィールドウォッチには過剰とも言える20気圧(200m)防水は、セイコーが堅牢性に置く比重を物語る。

同時代のフィールドウォッチと比べたとき、Landの輪郭はその性格の置き方に表れる。潜水時計のような大径ベゼルや経過時間表示を持たず、パイロット系のような大ぶりの数字盤にも振れない。あくまで地上の移動と方位、そして一日を通じた視認性に重心を置く構えである。4時位置に第二竜頭を据える配置は、内側ベゼルを操作しつつ主竜頭の操作感を損なわないための解でもあった。

派手にしないという判断、方位という機能への帰着、そして読みやすさの優先。色や装飾やサイズを抑えるこれらの選択が、世代を越えてもひと目でそれと分かるLandの顔を保ってきた背景にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1959-1960s
手巻きムーブメント
初代アルピニスト世代の手巻き機。
1968-
Cal. 6117系
ナビゲータータイマーの自動巻きGMT。
1993-
Cal. 5M23(A.G.S.)
運動で発電するランドマスターの機構。
1995-2018
Cal. 4S15 / 6R15
復活アルピニストの自動巻き、手巻き・ハック対応。
2019-現在
Cal. 6R35 / 6R54 / 6R55
Prospex世代の6R系、GMTは6R54。
2023-
Cal. 8L35
雫石製の高精度自動巻き、ランドマスター30周年に搭載。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1959-1960s

初代ローレル・アルピニスト

Laurel Alpinist
登山家のための同社初スポーツウォッチ、Landの起点。
1968

ナビゲータータイマー

6117-8000
回転ベゼルを備えた同社初のGMT、ランドGMTの源流。
1993

ランドマスターの登場

SBBW005
A.G.S.駆動の探検時計、のちチタンケースへ展開。
1995

「赤いアルピニスト」復活

SCVF005 007 009
現行に続く顔を確立、4時竜頭と内コンパスを採用。
2006-2018

SARBアルピニスト

SARB013 015 017
サファイア化し名表記を廃す。緑のSARB017が定番化。
2019-2024

プロスペックス統合期

SPB117 SPB121 ほか
アルピニストがProspexへ統合、Cal.6R35を搭載。
2025-現在

第8世代アルピニスト

SPB503 505 507
Cal.6R55で約72時間、薄型化とダイヤシールド採用。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive