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CASIO · SERIES

MR-G

金属ケースにG-SHOCKの耐衝撃を成立させた、日本のものづくりが集約する最上位の系譜

01 — 概要 / SUMMARY

MR-Gは、1996年にCasioがG-SHOCKの最上位として送り出した金属製モデルの系譜である。樹脂で覆わずに耐衝撃を成立させるという難題から出発し、チタンを軸に電波ソーラー、GPS、Bluetoothと機能を更新してきた。山形カシオの専用ラインで仕上げられ、現行はアナログのMRG-B2000、角形のMRG-B5000、八角形のMRG-B2100が柱となる。日本の甲冑や刀剣に通じる意匠と素材を取り込み、G-SHOCKの中で工芸としての性格を最も強く帯びた一群である。

02 — STORY · 物語

MR-G、これまでの軌跡

The story of this series
01

1996年、金属のG-SHOCK

G-SHOCKは1983年、伊部菊雄を中心とする開発から生まれた耐衝撃の腕時計である。落としても壊れない樹脂モデルが世界的な支持を集める一方、伊部は一度この開発から離れ、低価格機の量産に携わっていた。社内の士気を案じた伊部は「本当に作りたい時計を作ろう」と呼びかけ、有志8名の技術者が集まる。これが金属製G-SHOCKの出発点であった。

最大の課題は、樹脂のバンパーを持たない金属ケースで、いかに耐衝撃を成立させるかにあった。手がかりは自動車のバンパー構造から得られたとされる。衝撃を最も受けやすいベゼルをケースから分離し、その間に緩衝材を挟む。さらにガラスのパッキンをL字型にして、ベゼルとガラスの間にも逃げを設けた。1個のケースを6,000回以上落としてデータを集める検証も重ねられたと伝わる。

完成した時計はMRG-100として世に出る。リューズを持たず、価格は一般的なモデルの5倍に達したという。それでも販売は好調であった。樹脂に覆われたG-SHOCKの常識を覆す、最初の金属製G-SHOCKである。

02

チタンと電波ソーラーへ

初期のMR-Gは、MRG-100やMRG-200のようにステンレス製のデジタル機が中心であった。やがて軽さと強度を兼ねる素材として、チタンが採り入れられる。1999年にはダイバーズのフロッグマンを金属化したMRG-1100も登場し、シリーズは用途を広げていった。

転機は2003年のMRG-2000である。電波受信による時刻修正と、光で充電するタフソーラーを初めて備えたMR-Gであった。手を触れずに正確さと駆動を保つこの組み合わせは、以降のMR-Gの基本設計となる。続くMRG-7000やMRG-8000ではサファイアガラスや多局対応の電波受信、DLCコーティングが整い、チタン製アナログという現在につながる姿が固まっていった。

03

全金属でGPSを積む — MRG-G1000

2014年に発表されたMRG-G1000は、シリーズの一つの到達点であった。米国市場には2015年に投入されている。耐衝撃構造を保ったまま、全金属ケースにGPSと電波受信を組み合わせたGPSハイブリッド電波ソーラーを初めて搭載したMR-Gである。心臓部はモジュール5411。GPSと多局電波、ソーラーを一つにまとめ、世界中で正確な時刻を示す。

ケースは表層を硬化させるディープレイヤーハードニングを施したチタンで、DLCコーティングとサファイアガラスを備える。リューズとボタン、その保護部を一体化したクラッドガード構造により、小型化と操作性、耐衝撃を両立させた。仕上げは山形カシオのプレミアムプロダクションラインによる。長く日本市場が中心であったMR-Gが、世界の主要市場へ本格的に広がる契機ともなった。

04

接続の時代とBluetoothへの舵

2017年のMRG-G2000は、GPSを保ちながらBluetoothによるスマートフォン連携を加えた世代である。心臓部はモジュール5531。同年には一回り小ぶりなMRG-B1000も加わり、選択肢が広がる。

そして2020年のMRG-B2000で、シリーズは一つの判断を下す。GPSを外し、Bluetoothと多局電波による時刻補正に集約したのである。心臓部はモジュール5625。スマートフォンとの連携と電波受信があれば、多くの場面で十分な正確さが得られる。機能を足し続けるのではなく、要点を絞るという選択であった。

05

和の美意識という主題

MRG-B2000の世代で、MR-Gは日本の美意識を主題として前面に出す。戦国期の精鋭部隊が用いた朱塗りの甲冑にちなむ「赤備え」、熱した鉄が帯びる青みがかった黒「鉄色」、武神・毘沙門天の甲冑に由来する毘沙門亀甲の文様。刀剣の刃文に現れる沸の結晶を思わせる再結晶チタンのベゼル、刀身の反りを映したインデックス、扇や屏風を想わせる文字盤の縁。こうした意匠が、山形カシオのナノ加工技術によって金属の上に刻まれる。

工芸としての性格は、限定モデルでさらに際立つ。鎚起の技法で職人が一点ずつ打ち出したMRG-B5000HTや、熟練の金工が手がけた数百本規模の限定作がそれである。素材も独自で、純チタンより硬いチタン合金や、コバルトクロム合金のコバリオンが用いられる。

06

名作形状への回帰と現在地

2022年のMRG-B5000は、1983年の初代DW-5000Cに由来する角形をMR-Gとして初めて採用した一本である。フルデジタル表示のMR-Gとしては、1999年のフロッグマン以来となる。ケースとベゼルにTi64、バンドにDAT55G、トップベゼルにコバリオンを使い、25個の部品からなるマルチガード構造でモジュール3501を守る。

2024年には、G-SHOCKの名作形状の一つである八角形を取り込んだMRG-B2100が加わった。丸型の全金属から、角形・八角形の名作形状へ。MR-Gは、G-SHOCKが積み上げてきた耐衝撃という思想を、日本の金属工芸の言葉へ翻訳し続けている。それが、誕生から約30年を経たこのシリーズの現在地である。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

MR-Gが一貫して向き合ってきたのは、相反する二つの要求である。落下や衝撃に耐える堅牢さと、金属だからこそ表現できる仕上げの美しさ。樹脂の緩衝材を持たないこのシリーズは、その両立をケース構造そのもので解こうとしてきた。

出発点となったバンパー由来の発想——衝撃を受けやすいベゼルを分離し、緩衝を挟む——は、世代を追って洗練される。リューズやボタンと保護部を一体化したクラッドガード構造、板ばねとシリコンの緩衝材を組み込んだマルチガード構造へと、守りの仕組みは更新され続けた。変わらないのは、外装そのものを耐衝撃の一部として設計するという姿勢である。

素材選びにも同じ思想が通う。MR-Gはチタンを軸に、純チタンより硬いチタン合金やコバルトクロム合金を組み合わせる。表層を硬化させるディープレイヤーハードニングと、職人の手によるザラ研磨は、硬さと滑らかさという両立しにくい性質を一つの表面に共存させるための工程である。傷に強く、なお歪みのない鏡面を保つ。これがMR-Gの金属の質感を支えている。

視認性への態度も一貫している。反射を抑えたサファイアガラス、明るい照明、明快な針とインデックス。読み取りやすさは、道具としてのG-SHOCKから受け継いだ規範である。

そして装飾を抑えるという判断がある。最上位でありながら、MR-Gは華美に走らない。素材と構造の質で語り、色や形は日本の甲冑や刀剣に通じる落ち着いた意匠にとどめる。同じG-SHOCKの全金属モデルが量産の強さを示すのに対し、MR-Gは山形での少量生産と手仕事で、金属工芸としての輪郭を描く。耐衝撃という機能を、日本のものづくりの言葉で表現すること。それが、このシリーズを貫く設計言語である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1996-2002
クオーツ・デジタル各モジュール
金属化の黎明期。汎用クオーツを搭載した。
2003-2013
電波ソーラー・モジュール
電波受信とタフソーラーを統合した世代。
2014-2016
Module 5411
GPSと多局電波、ソーラーを全金属に統合。
2017-2019
Module 5531
GPSにBluetooth連携を加えた世代。
2020-現在
Module 5625 / 3501
GPSを外しBluetoothと電波に集約した。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1996-1997

初代の金属G-SHOCK

MRG-100 MRG-200
ステンレス製の初代。バンパー構造で金属の耐衝撃を成立させた。
1998-2002

チタン採用と多機能化

MRG-1000 MRG-1200
チタンケースを導入し、デジタル多機能機へと裾野を広げた。
2003-2013

電波ソーラー機の定着

MRG-2000 MRG-8000
電波受信とタフソーラーを採用、チタン・アナログが基準形に。
2014-2016

全金属GPS世代の到達

MRG-G1000
全金属でGPSハイブリッド電波ソーラーを初搭載した世代。
2017-2019

Bluetooth接続の世代

MRG-G2000 MRG-B1000
GPSにBluetoothを追加し、中型のB1000も派生させた。
2020-2021

Bluetooth世代と和の意匠

MRG-B2000
GPSを外しBluetoothと電波に集約、和の意匠を前面に出す。
2022-現在

名作形状への回帰と展開

MRG-B5000 MRG-B2100
角形と八角形の名作形状をMR-Gとして取り込んだ世代。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズのモデル一覧

All references in this series

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