1996年、金属のG-SHOCK
G-SHOCKは1983年、伊部菊雄を中心とする開発から生まれた耐衝撃の腕時計である。落としても壊れない樹脂モデルが世界的な支持を集める一方、伊部は一度この開発から離れ、低価格機の量産に携わっていた。社内の士気を案じた伊部は「本当に作りたい時計を作ろう」と呼びかけ、有志8名の技術者が集まる。これが金属製G-SHOCKの出発点であった。
最大の課題は、樹脂のバンパーを持たない金属ケースで、いかに耐衝撃を成立させるかにあった。手がかりは自動車のバンパー構造から得られたとされる。衝撃を最も受けやすいベゼルをケースから分離し、その間に緩衝材を挟む。さらにガラスのパッキンをL字型にして、ベゼルとガラスの間にも逃げを設けた。1個のケースを6,000回以上落としてデータを集める検証も重ねられたと伝わる。
完成した時計はMRG-100として世に出る。リューズを持たず、価格は一般的なモデルの5倍に達したという。それでも販売は好調であった。樹脂に覆われたG-SHOCKの常識を覆す、最初の金属製G-SHOCKである。