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BULGARI · SERIES

Bulgari Bulgari

ブルガリ・ブルガリ

ブランドの名そのものを意匠に変え、古代ローマの貨幣を腕によみがえらせたブルガリの原典

41.5 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ブルガリ・ブルガリは、宝飾メゾン ブルガリが1977年に発表した、メゾンを代表する最初の本格的な腕時計シリーズである。前年までに顧客へ贈られた金無垢のデジタル時計「ブルガリ・ローマ」を原型とし、ジェラルド・ジェンタが再設計した。最大の特徴は、古代ローマの貨幣を思わせる二重のロゴ刻印を施したベゼルにある。ブランド名を装飾そのものへと昇華させた、宝飾とイタリア的デザインの結節点である。現行は自社製キャリバーを積む「ソロテンポ」、レディース、大理石文字盤の50周年記念モデルなどへ枝分かれし、八角形のオクトと並ぶ円形ケースの柱として続いている。

02 — STORY · 物語

Bulgari Bulgari(ブルガリ・ブルガリ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1975年、貨幣を腕に

始まりは商品ではなく、贈り物であった。1975年のクリスマス、当時メゾンを率いた三代目ジャンニ・ブルガリは、上得意の顧客へ特別な一本を贈る。金無垢のケースに液晶表示を収めたデジタル時計で、ベゼルには「BVLGARI」と「ROMA」の文字が刻まれていた。古代ローマの貨幣の縁を思わせる刻印である。わずか100本ほどがつくられ、市販されなかったこの「ブルガリ・ローマ」は、買うことのできない時計として評判を呼んだ。宝飾店ブルガリが、紳士用の時計という新しい領域へ踏み出す気配が、ここにあった。

02

1977年、名前が意匠になる

贈答品の反響を受け、ブルガリはこの意匠を本格的な腕時計へ育てる道を選ぶ。設計を託されたのは、ロイヤルオークやノーチラスを手がけた時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタであった。ジェンタはローマの最も雄弁な特徴――ベゼルに刻まれた銘文――を残し、機械式の自動巻時計として再構成する。こうして1977年、二重のロゴを連ねた「BVLGARI BVLGARI」が生まれた。ブランド名を文字盤の脇役から、デザインの中心へと引き上げた一本である。自らの名を堂々と意匠に据えたこの発想は、ロゴを前面に出す後年の高級品の流儀を、時計の世界で先取りするものでもあった。広告は打たれなかったが、ローマのコンドッティ通りの店舗には、噂を聞きつけた客が次々と訪れたと伝わる。

03

時計部門の出発点として

ブルガリ・ブルガリの成功は、宝飾メゾンの時計づくりを一つの事業へと押し上げた。1980年代初頭にはスイスに時計製造の拠点(Bulgari Time)が築かれ、垂直統合への歩みが始まる。円形ケースは鋼へ、クォーツへ、レディースへと展開し、日付の有無やサイズ違いが整えられていった。このシリーズが切り開いた市場は、やがてスポーティなディアゴノやアルミニウムといった派生へとつながる。宝飾の余技ではなく、時計メゾンとしてのブルガリの起点が、この円い時計にあった。

04

ムーブメントの自立

発表当初のブルガリ・ブルガリは、外部から調達した自動巻ムーブメントを積んでいた。1989年からはジラール・ペルゴとの協業が始まり、ムーブメントと複雑機構の開発を担う。2000年にはジェラルド・ジェンタとダニエル・ロートの工房を取得し、複雑時計の地力を蓄えていった。その延長で2004年には初のトゥールビヨンを擁する大複雑機構モデルが姿を見せ、円形ケースの一族は高級時計の領域へも足を伸ばす。そして2013年、ブルガリは自社製の自動巻キャリバー BVL 191「ソロテンポ」を投入する。毎時28,800振動 (4Hz)、約42時間のパワーリザーブを備えた3針デイトの実用機である。同時にベゼルはやや丸みを帯び、ラグも整理され、41mmの大型ケースが加わった。調達から内製へ――シリーズは機械の面でも自立を果たしていく。

05

原点への回帰

2024年、ブルガリ・ブルガリは初期の簡潔さへと立ち返る。38mmの金無垢に絞り、装飾を削ぎ落とした文字盤で、1977年の佇まいを現代に描き直した。翌2025年は、原型ローマの登場から数えて50年の節目にあたる。記念モデルにはローマの建築を象徴する大理石が文字盤に採られ、黄金には緑のヴェルデ・アルピ、ピンクゴールドには青系のブルー・インカントやアズーロ・インフィニートが組み合わされた。金無垢の一部には「BVLGARI ROMA」の刻印が復刻され、原点への目配せが施されている。記念にあわせてコンドッティ通りの店舗では資料展も開かれ、半世紀の歩みが振り返られた。八角形のオクトと円形のブルガリ・ブルガリ――対照的な二つの柱を擁しながら、このシリーズは、名を刻むという最初の発想を半世紀にわたり手放さずにいる。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ベゼルという余白に名を刻む

ブルガリ・ブルガリの設計言語は、ベゼルに集約される。回転もせず、時間計測の機能も持たないこのベゼルは、潜水や航空のための道具立てではなく、ブランド名を刻むためだけの帯である。古代ローマの貨幣では、皇帝の横顔の周囲に権威を示す銘文が円弧状に配された。その構図をそのまま手首へ移したのが、二重に並ぶ「BVLGARI BVLGARI」の刻印である。潜水ベゼルが安全のための目盛りを刻むのに対し、ここでベゼルが刻むのは時間ではなく出自であった。

円筒形に近いケースは、ローマ神殿の円柱に着想を得たとされる。単純な円盤に見えて、その断面比率は意匠的な検討の産物であり、薄く水平に伸びる側面が貨幣のような佇まいを生む。刻印の手法もまた意匠の一部であり、初期の手彫りに対し、近年の記念モデルではレーザー刻印が用いられ、工芸的な質感の在り方そのものが時代とともに移ろってきた。

この系譜が一貫して守ってきたのは、自制である。文字盤は語りすぎない。刻印ベゼルが主役を担うため、ダイヤルは無地のオパーリンや地板を生かした簡潔な構成にとどめ、インデックスと針も細く抑える。色や装飾を競わせず、ベゼルの一語だけを際立たせる。日付を3時位置に置くか、あえて持たないかという選択も、簡潔さをどこまで貫くかという同じ問いの延長にある。同時代に登場した八角形のオクトが角の構築性で語るのに対し、ブルガリ・ブルガリは円と文字の対比で語る。

ロゴを装飾へ昇華させる発想は、唐突に現れたものではない。皇帝の名を刻んだ古代の貨幣を宝飾に仕立てる「モネーテ」の伝統が、メゾンには早くから根づいていた。その文脈の上に立つからこそ、名を刻むという一見大胆な意匠が、軽薄な自己主張ではなく文化の引用として成立する。

半世紀近くを経てなお一目でそれと分かるのは、変えるべきものと変えないものを分けてきたからである。サイズや素材、ムーブメントは時代に合わせて更新されたが、刻印ベゼルと簡潔な文字盤という核は動かさなかった。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1977-1988
外部調達ムーブメント
自動巻エボーシュを外部から調達して搭載した期。
1989-2003
Girard-Perregaux 系
GPとの協業で機械式ムーブメントを供給した期。
2004-2012
複雑機構キャリバー
トゥールビヨン等の大複雑機構モデルが登場。
2013-現在
Cal. BVL 191 Solotempo
自社製自動巻が中核に。クロノはZenith製を併用。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1975

原型ローマ

BVLGARI ROMA(原型)
金無垢LCDの限定贈答品。コインを模した刻印ベゼルの原点。
1977-

初代BB

初代 BVLGARI BVLGARI
自動巻・金無垢で登場。二重ロゴ刻印ベゼルの言語を確立。
1980年代

拡張期

クォーツ各種
鋼ケース・クォーツ・レディースへ展開し多サイズ化が進む。
2013-

刷新世代

101867 101868 ほか
ベゼルとラグを再設計、自社製BVL 191を搭載。41mmを追加。
2024-

原点回帰

103966 103967 ほか
38mm金無垢のみで再構成。意匠を初期の簡潔さへ戻す。
2025

50周年記念

104112 104113
大理石文字盤の記念モデル。ROMA刻印ベゼルを復刻。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive