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BULGARI · SERIES

B.Zero1

B.zero1

コロッセオに着想したスパイラルとブルガリの二重ロゴを腕に移した、ジュエリー発のデザインウォッチ

23 mm
01 — 概要 / SUMMARY

B.zero1は、1999年末に発表されたブルガリの同名ジュエリーコレクションを源流とする腕時計シリーズである。ローマのコロッセオに着想した渦巻き状のケースと、側面を囲むベゼルに刻まれた「BVLGARI BVLGARI」の二重ロゴを核とし、ジュエリーの造形思想を時計へ翻案した点に性格がある。ムーブメントは一貫してクォーツで、ステンレススチールやピンクゴールド、セラミックといった素材に、マザーオブパールや装飾モチーフを組み合わせた多彩なバリエーションを展開してきた。実用計器ではなく、身につける造形物としての時計という立ち位置を保つ。

02 — STORY · 物語

B.Zero1(B.zero1)、これまでの軌跡

The story of this series
01

新しいミレニアムのために生まれた渦巻き

B.zero1は、1999年末にブルガリが発表したジュエリーコレクションとして世に出た。発端は腕時計ではなく、一本の指輪である。名称の「B」はブルガリを、「zero1」は新しいミレニアムの最初の一作という含意を持つとされる。

着想源はローマのコロッセオであった。円形闘技場の反復する弧と量塊を、装飾ではなく構造として抽象化する——これが当初からの出発点である。リングの中央には複数のバンドが連なり、両端を平らなリングで挟む。その縁には「BVLGARI BVLGARI」の二重ロゴが刻まれた。古代ローマの記憶と工業的な造形を一つの形に束ねる試みであり、装飾を足すのではなく形そのもので語らせる姿勢が貫かれていた。

発表からの数年で、B.zero1はブルガリを代表するジュエリーラインへと成長する。指輪に続いてペンダント、ブレスレット、イヤリングが加わり、シリーズとしての言語が固まっていった。

02

ジュエリーから腕時計へ

この造形言語を手首の上に移したものが、B.zero1の腕時計である。発表時期はジュエリーよりやや遅く、2000年代に入ってからとされるが、正確な年は資料により揺れがある。

時計としてのB.zero1は、ジュエリーの輪郭をそのまま受け継いだ。丸いケースの側面には、チュボガスを思わせる渦巻き状の段が刻まれ、ケースを囲む幅広のベゼルには「BVLGARI BVLGARI」の二重ロゴが配される。文字盤はインデックスを絞った簡潔な構成で、針も細い。実用計器としての機能よりも、身につける造形物としての性格が前面に出ている。

ムーブメントは一貫してクォーツであり、防水性能は30m防水にとどまる。ケース径は22mmから35mmが中心で、主たる対象は女性であった。BZ22S、BZ30S、BZ35Sといった型番が、素材や文字盤の違いとともに並んだ。機械式の複雑さではなく、ジュエリーの感性を時計の文法に翻訳することが、このシリーズの主題であった。

03

二つのローマ的コードを束ねる

B.zero1の腕時計が持つ二つの視覚的核——渦巻き状のケースと二重ロゴのベゼル——は、いずれもB.zero1のために発明されたものではない。どちらもブルガリが以前から育ててきた意匠である。

渦巻きの源にあるのはチュボガスと呼ばれる技法で、金属のリボンを蛇腹状に巻き上げ、はんだ付けせずにしなやかな帯を作る。ブルガリは1940年代以降この技法を用い、後年のセルペンティやブレスレットでも知られる。一方、「BVLGARI BVLGARI」の二重ロゴは、1970年代に登場したブルガリ・ブルガリ・ウォッチに由来する。古代ローマの貨幣に刻まれた銘を思わせる、ブランド名を意匠そのものに変える発想である。

B.zero1は、この二つの既存のコードを一つのケースの上で出会わせた。渦巻きが時間の連続を、二重ロゴがローマの記憶を担う。歴史を持つ要素を組み合わせることで、新しさと既視感を同時に成立させた点に、このシリーズの巧みさがある。

04

装飾の実験と素材の拡張

固まった基本形の上で、B.zero1の腕時計は素材と装飾の実験を重ねていく。ステンレススチール、ピンクゴールド、両者を組み合わせた二色構成に加え、ベゼルにセラミックを用いたモデルが現れた。文字盤にはマザーオブパールが多用され、ダイヤモンドをベゼルや文字盤に散らした仕様も増えていく。

装飾モチーフを主役にした派生も生まれた。重なり合うハートを描いたダブルハート(BZP30S ほか)、花や蝶を文字盤に配したモデルなどである。これらはジュエリーとしての性格をさらに強め、時計というより小さな装身具に近い表情を見せる。

ジュエリー側のB.zero1も、この時期に外部の創作者との対話を重ねていた。2010年には彫刻家アニッシュ・カプーアが、2017年には建築家ザハ・ハディドが、それぞれリングを再解釈している。これらは時計ではなくジュエリーの仕事だが、B.zero1という名が単一の形に固定されず、絶えず問い直される対象であったことを物語る。

05

デザイン・アイコンとしての現在

発表から四半世紀を超えてなお、B.zero1の名は生き続けている。ジュエリーは毎年のように新作を加え、腕時計もブルガリの現行ラインに残る。現行の腕時計には、ケースとバングルを黒いセラミックでまとめた23mmの簡潔なモデルがあり、装飾をそぎ落とした方向での到達点を示している。

B.zero1の腕時計は、ダイバーズやクロノグラフのような機能の系譜ではない。世代交代のたびに防水やキャリバーを刷新する物語を、このシリーズは持たない。代わりにあるのは、一つの造形をいかに保ち、いかに変奏するかという主題である。コロッセオの弧から生まれた渦巻きは、素材と装飾を替えながら、四半世紀のあいだ「B.zero1の顔」を保ち続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

B.zero1の腕時計が一貫して大切にしてきたのは、時計を実用計器ではなく、身につける造形物として設計するという立場である。機能を競うのではなく、ジュエリーの造形言語をいかに時計の文法へ移すか——この一点に設計の重心が置かれている。

中心にあるのは二つの要素だ。一つはケース側面の渦巻き状の段で、チュボガスの帯を思わせる連続した造形がケースに立体的なリズムを与える。もう一つはケースを囲む幅広のベゼルで、そこに刻まれた「BVLGARI BVLGARI」の二重ロゴが、文字盤を読む前にまずブランドを認識させる視覚的な錨となる。この二つが組み合わさることで、文字盤の意匠を大きく変えても「B.zero1である」と分かる輪郭が保たれる。

意匠の継承も明快である。インデックスを絞り、針を細く保ち、文字盤を過度に飾らない。素材や装飾は世代ごとに替わるが、渦巻きと二重ロゴという二つの核は動かさない。変えてよいものと変えてはならないものを峻別する判断が、四半世紀にわたる認識性を支えている。

同じ二重ロゴのベゼルを持つブルガリ・ブルガリ・ウォッチと比べると、B.zero1の独自性は側面の渦巻きにある。ブルガリ・ブルガリが平面的なロゴのベゼルでブランドを語るのに対し、B.zero1はケースそのものを立体的な渦として造形する。ダイバーズウォッチのベゼルが時間計測という機能を担うのとは対照的に、B.zero1のベゼルは回転せず、機能ではなく意匠として存在する。視認性や堅牢性より、手元での見え方を優先した造形である。

機能をあえて抑える判断も、このシリーズの設計思想の一部である。クォーツを選び、複雑機構を載せず、防水も日常使用に足る範囲にとどめる。時計に求められる性能を最小限に保つことで、造形そのものに語らせる——その自制が、B.zero1を機械の系譜ではなくデザインの系譜に位置づけている。

04 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2000年代前半–

ジュエリー発の初期世代

BZ22S BZ30S BZ35S
鋼・金の二重ロゴベゼルにクォーツ。シリーズの基本形を確立。
2000年代後半–2010年代

装飾モチーフの拡張期

BZP30S ほか
ダブルハートや花・蝶のモチーフ、ダイヤ装飾の文字盤が広がる。
現行

セラミックの現行世代

23mm セラミックモデル
黒セラミックのケースとバングルによる、無装飾の現行表現。
05 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive